人気ブログランキング | 話題のタグを見る

コロナ対策アイピースカバーを作ってみた

コロナウイルスに感染する恐れがあるということで、公共施設などでは天体観望会を自粛しているところが多い。
これは全国的な傾向で、特に天体観測室などドームの中に大勢人を集めてというこれまでのスタイルは、かなり厳しい。
しかし天体観察に最適な夏になり、今年は木星と土星が並び、火星準大接近もあるので観望会をしないのは実にもったいないし、(今年は短いとはいえ)夏休みに大人も子供もぜひ星を見てもらいたいので、自分なりに対策を考えてみた。

1.まず観望会は屋外を基本とする。
2.参加者は全体を把握しやすくし感染の可能性を抑えるため、少人数を基本とする。
3.熱やセキ等の自覚症状のある人は参加を遠慮してもらう。
4.そしてソーシャルディスタンスを守る。
5.マスク着用が参加条件。
6.開始前と終了後に手をアルコール消毒。
7.子供用の脚立は使用したら毎回消毒。

まず以上が基本。そしてそれ以外の不安要素を対策していくことにする。

コロナウイルスは、望遠鏡を覗く際にアイピースに付いた涙からも感染するのではないかという説がある。また、子供に限らずアイピースを手で握って観察する人もいる。コロナウイルス感染防止には何も触らないことが基本であるため、観望会の参加者にはできるだけ望遠鏡を触らせないような工夫が必要である。

そこで、アイピースカバーを作ってみた。アイピースを参加者ごとに消毒するのは大変だしレンズへの悪影響も気になる。消毒直後に覗いて大丈夫かも心配。だからアイピースカバーだ。

最初はできるだけコストをかけないように、捨てるはずのペットボトルのふたとラップで作ってみた。
コロナ対策アイピースカバーを作ってみた_a0095470_22385983.jpg
大きさ的にはビクセンLVアイピースにすっぽり入ってちょうどいいし、13cm反射で木星を見てみたが、像への影響はほぼなし。しかし洗ったペットボトルのふたとはいえ、衛生的なイメージが悪い。金額はほぼラップ代だけだが、加工が面倒なのも確かなので、これはボツ。
コロナ対策アイピースカバーを作ってみた_a0095470_22385411.jpg
次に、どうせならラップだけでいいんじゃないかということで、アイピースにラップを巻いて輪ゴムで止めた。機能は十分だが、付け外しを誰がやるのか、その係が感染しやすいのじゃないかと気が付いてボツ。ラップの付け外しがけっこう面倒なのもある。金額的にはこれが一番安いけど感染防止の意味ではちょっと。
コロナ対策アイピースカバーを作ってみた_a0095470_22384780.jpg
次に考えたのが、紙コップの底をくりぬいてラップを張り付ける。これはどこかの公開天文台が紙コップの底をくり抜いてアクリル板を張り付けて使っているというもののパクリだ。アクリル板は高いし、加工も面倒。ネットで調べてみると、紙コップだけでアイピースカバーを作り観望会をしている施設もあった。それでもいいが、せっかく思いついたので、ラップを貼って木星を見てみた。
コロナ対策アイピースカバーを作ってみた_a0095470_22383282.jpg
最初の実験のとおり、ラップ程度の厚みでは眼視ではほぼ影響はなかった。ちゃんと木星の大赤斑まで確認できた。ただし一般人が13cmで大赤斑を認識できるかどうかは個人差が大きいはず。去年の実験では25cmはあった方がいいという結論だったな。
まあ大赤斑はおいといて、下の画像はラップを通してコンデジ(S120)で満月を撮影したもの。厳密にいえばラップありだと月の周辺が少し白っぽいが、眼視ではあまり気にならない。
コロナ対策アイピースカバーを作ってみた_a0095470_22390945.jpg
このアイピースカバーは参加者ひとりに1個持たせて、その回のみの使い捨てが基本だ。望遠鏡が複数あれば、参加者はこのカバーを持って望遠鏡を回ればいい。使用アイピースに合わせて紙コップに穴を開けると、使用時にぐらぐらしなくていい。ただし径の大きい2インチアイピースやペンタックスのXLなどは対応する大きな紙コップの種類があるかどうかは不明だ。

また、経緯台は日周運動で天体が逃げるため、望遠鏡担当者がいちいち天体を導入し直さないといけないからこういう場合には手間がよけいにかかる。できれば参加者がちょっと押しても動きにくい大きめの赤道儀や自動追尾経緯台を使いたい。
でも結局参加者が望遠鏡を動かしそうなので、その時のために担当者専用紙コップも1個必要だな。そして「望遠鏡は触らないで、紙コップだけ見るところに差し込んで」と参加者ごとに担当が言う。でも望遠鏡担当も参加者から少し離れないといけないので、けっこう面倒かも。

最大の問題は、参加者の数だけこれを作らないといけないこと。紙コップの底をカッターで切り抜いて、周りに両面テープを貼ってラップを貼るだけだが、ラップは中央部分にしわが出ないように張るべきだし、数が多いとかなり面倒。やっぱり参加者は少人数が現実的だな。そして渡す前にアイピースカバーを消毒する。参加者にアイピースカバー制作も自分でやってもらうという手もあるが、それだと部屋とカッターが必要になるか。それも面倒。

紙コップ自体は100円ショップで50個くらいで100円(税別)、ラップも100円(税別)で売っていた。
コロナ対策アイピースカバーを作ってみた_a0095470_23005610.jpg
ところでラップは家にあった上の2種類を使った。値段は不明。どうせ使い捨てなので安いものでいいとは思うが、私がアイピースに巻いたりしてテストした中では、厚手のクレラップの方が長持ちした。紙コップに貼って数回使う分にはあまり差がなさそうなので、これはお好みで、という部分かな。

さてアイピースカバーはこれでいいとして、他にはどんな問題をクリアすればいいのか。もっと考えてみたい。

by anettait | 2020-07-18 23:29 | アクセサリー関係 | Comments(0)  

<< ネオワイズ彗星は大きい彗星にな... ネオワイズ彗星の撮影場所の下見... >>