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15cmF5アクロマート屈折で惑星を撮ったら茶色に写った

15cmF5アクロマート屈折は眼視用の設計である。アクロマート屈折は元々色収差が大きいが、短焦点化することでさらに色収差が大きくなる。そこで青の波長を無理に補正せず、逆に青を大きくぼかすことで残りの波長でシャープに見えるようにした、とかなり前にどこかで読んだ。
短焦点アクロマートで星を撮影すると星のまわりに紫色~青のニジミが写るのは、そういうわけだと私は理解している。
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先日の惑星観望では火星や土星では色収差はあまり気にならなかったが、撮影したらどうなるかということで試してみた。

さて使用機材は前回と同じ15cmF5アクロマートだ。確か笠井トレーディングで扱っていたシュワルツ150sという商品名だったと思う。いや中古なので確実ではない。同じ製品が別の望遠鏡販売店でも売っていたのを覚えている。うちにあるもう1本はそれだったかも。
赤道儀はタカハシのEM100だ。撮影するのでビクセンのGP赤道儀では力不足。

まず木星。直焦点では露出オーバーなこともあって青ハロがすごい。下の画像は中心部だけトリミングしてある。
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木星の拡大撮影。1コマ撮影で画像処理はトリミングのみ。眼視と違いかなり茶色っぽい。台風は近いし木星の高度が低いのでシーイングは悪い。
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眼視だと下の画像のようにまわりの青ハロが目立つ。
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次に土星。やはり茶色。元々土星は黄色っぽいのであまり変わらない。
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火星。眼視では先日は大シルチスがわかったが、今回は何かあるという感じ。雲が出て条件は悪かったので、撮影画像もそれなり。
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火星の赤いニジミは、赤成分が多いのと火星が非常に明るいためだと推測。木星では見られなかった。
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ついでにベガも撮ってみた。露出をかなりかけたら、大きく青く写った。上の縞の写っている木星がISO4000に30分の1秒程度に対し、下のベガはISO6400に1秒露出だ。
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大口径の短焦点屈折は撮影には適さないのがよくわかった。惑星が茶色なのも、青い波長をぼかしているために本来の色から青を抜いた色で写っているんじゃないかと推測できる。

惑星観察には不利だが、火星や土星にはあまり影響なさそう。また、ベガはとてもきれいだった。これですばるを撮ったらきれいに写りそうだ。

ところでこういう望遠鏡はどんな人に向くのかを考えてみた。
1.色収差愛好家
2.双眼望遠鏡の素材を探している人
3.大口径で星雲や惑星も見たいけど反射の光軸修正がいやな人
4.屈折望遠鏡収集家
5.いろんな望遠鏡の見え方を確認したい人

私は2番だが、アクロマートの色収差は許容範囲なので、1番にも近いし5番も近い。
この鏡筒の重量は6.5kgで、ケンコーのニュートン反射の15cm(5kg)と20cm(9kg)のだいたい中間だ(重量は実測値)。ビクセンのGP赤道儀に載せられるぎりぎりの重さ(眼視限定)。私なら少しでも大口径がいいので、値段の安い20cmニュートンにすると思う。GP赤道儀では風でゆれるけど。

by anettait | 2018-09-03 23:55 | 屈折望遠鏡 | Comments(0)  

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